「昔からサーターアンダギーは子供たちのおやつの定番」と書かれると、ボクは頭の中で、暗くて石油コンロの匂いの残る台所の水屋を思い浮かべ、ガサゴソとサーターアンダギーを探し、途方に暮れる図を想像してしまうのである。そう、卵をたっぷりと使うサーターアンダギーは、ボクが子供だった1970年代前半までの貧しい時代には、いつでも食べられるお菓子ではなかったのだ。では、どんなときにサーターアンダギーを食べることができたか。
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親戚でなにかお祝い事があるときである。結納、結婚式、生年祝い(トゥシビーともいい、自分の生まれた年と同じ干支が巡ると祝う。主に13歳、61歳、73歳、85歳、97歳を祝う)など、祝いのたびに親が親戚からサーターアンダギーをもらってくるのが楽しみだった。ボクの家は5人兄弟だったので、もらってきたサーターアンダギーは五等分、時には六等分に切って食べて、まるまる1個ひとりで食べたという記憶はほとんどない。サーターアンダギーを誰もが気軽に作ったり買ったりできるようになったのは、1972年の復帰後のことのような気がする。